オンライン資格確認とは

 私たちが医療機関を受診する際に必ず呈示する保険証、転居や転職などで番号等が変わることはご存じでしょう。受付では、受診時にその内容を確認し会計処理をしています。20234月から、その確認方法が原則としてインターネット回線を介して行うようになりました。これを「オンライン資格確認」と言います。以下に基本的なことを解説します。

 

Q1. すべての医療機関で変わったのですか?

A1.「オンライン資格確認」を既に導入している医療機関もありますが、20228月に20234月から原則義務化との省令改定があったため、4月から実施している施設が多いと推測されます。ただし、個別の事情で導入が免除される施設もあるので、一斉にすべての施設で変わったわけではありません。

 

Q2. マイナンバーカードが必要ですか?

A2.「オンライン資格確認」のシステムは保険証と一体化されたマイナンバーカードを前提に作られています。しかし、従来の保険証でも資格確認はできます。したがって、マイナンバーカードがなくても問題ありません。ただし、施設によってはマイナンバーカードの有無で窓口負担が異なる場合がある1ので、事前に確認しましょう。

 

Q3. マイナンバーカードで受診するときの手順を教えてください?

A3. マイナンバーカードを保険証として使用するためには、事前に各自がマイナポータル・サイトで健康保険証としての利用申し込みをする必要があります。その際に利用規約*2は必ず読みましょう。医療機関の受付ではカードをカード・リーダーに置いて、本人確認の方法を「顔認証」と「暗証番号」のいずれかから選択します。操作は銀行のATMと同様のタッチ式になります。顔認証の場合はマスクや眼鏡を外さなければならないことがあるのでご理解ください。マイナンバーカード作成時の暗証番号は確認しておきましょう。次に自分の医療情報の取得について3つの項目に「同意する」または「同意しない」を選択(3回あります)*3します。これで操作は終了です。今までは月初めの受診時に保険証の確認をすることが多かったと思いますが、今後は受診する度にこの操作が求められます。

また、資格確認にはカード内のICチップにある電子証明書を使いますが、これは5年に1回、カード自体も10年に1回(20歳未満では5年に1回)の更新が必要ですのでご注意ください。

なお、機器の故障や通信障害でシステムが使えないときには、従来の保険証も有用ですので今まで通り保険証は携帯しましょう。

 

Q4. 従来の保険証はなくなるのですか?

A4. 現行法ではマイナンバーカードの取得は任意です。保険証機能をマイナンバーカードへ一本化するには法改定が必要です。2023年6月の国会で改定法案が可決成立したため2024年の12月1日には従来の保険証は廃止の予定となりました。しかし、その後のドタバタは周知の通りです。予定通りに進むかは疑問符がつきます。

 

1:オンライン資格確認にともなって、診療報酬上「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」という点数が新設されました。算定基準があり施設によって点数は異なります。なお、マイナンバーカードを使用したときの方が従来の保険証を使用したときよりも低く設定されています。負担額は3割負担の場合で1020円増しとなります。当院ではこの加算は算定しないこととしています。

*2:当初の利用規約は、内閣総理大臣への白紙委任を求めたり(旧4条)、利用者に損害が生じても所管するデジタル庁は「一切の責任を負わない」との条項(旧3条、23条)があったり、「いつでも(無断で)利用規約を改正できる」(旧24条)といった一方的で無責任な内容であったため大きな批判を浴びました。202314日の改定では、内閣総理大臣の文字はなくなりデジタル庁への同意事項が記載され(4条)、免責条項にデジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き」との文言が追加(24条)、「規約の変更が、利用者の一般の利益に適合し、又は、変更の必要性、変更後の内容の相当性その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき25条)に限定されました。しかし、問題とされた行政機関による金融口座照会への同意(11条)は変更がありませんでした。

*3:「同意する」ことで、他の医療機関における医療情報や薬剤情報が取得できるようになります。ただし、現在のところ情報源は月ごとに提出される診療報酬請求書(レセプト)なので、前月の情報が反映されるのは当月の10日過ぎとなります。したがって、月初めには前月の情報は反映されません。ご本人からの話やお薬手帳の方が情報は早いことになります。将来的には、複数の医療機関の電子カルテを閲覧できるようになることを目指しているのですが、電子カルテの普及やその平準化(現在はカルテのメーカーによっては互換性がない)等、乗り越えなければならない課題が多くあります。

(2024/04/06 加筆修正)